建築(住宅)における制振材料利用技術WG | |
建築WGは,1991年1月に発足し,2015年6月時点で107回のWGを開催しております。住居を対象に制振材料がいかに振動・騒音制卸に効果を持つのか,主に実験的に研究を進めてきました。ここしばらくは重量衝撃に対するRCスラブの床衝撃音対策として制振材料がいかに機能するか研究を行ってまいりました。
最近の実験で,150㎜厚のRCビームにおいて従来の非拘束型・拘束型の貼付タイプ制振材料がいずれもビームのモード周波数において振動の低減効果のあることを確認いたしました。 そこで実床の実験に移行し,居室を想定した上下階室の着脱可能な150㎜厚のRC界床を,制振材料として実用的な構成厚である制振層厚6.2mmの拘束型により制振し,その低減効果を実験しました。その結果,対象の床板のモード周波数において10dB程度の重量床衝撃音の低減効果を得ることができました。 しかしながら,床板に貼付した制振材料は床衝撃により励起される室の固有モードに対しては原理的に効果を発揮することはできないために,従来のJISの評価法においては残念ながら2dB程度の低減量となってしまいます。ただし,JISの物理評価と聴覚による評価ではそのメカニズムが違うため,聴感上では制振による低減効果をはっきりと確認できました。 この点に着目し,心理音響評価を導入し,周波数と時間に関連したマスキングが考慮された聴感に近い非定常音の大きさの指標である非定常ラウドネスによる床衝撃音の評価を検討しました。そして,サーストンの一対比較法およびME法を用いた聴感実験による主観評価結果との比較より,最大A特性音圧レベルより非定常ラウドネスのほうが,より音の大きさに係る主観評価に近い評価ができることがわかりました。 <2014年度の活動> 建物外壁に使用されている窓ガラスのコインシデンス効果による遮音性能低下改善対策への制振材料の適用可能性を検討するため、窓サッシの遮音性能予測手法の検討を進めています。また、モデル化の妥当性評価のために昨年行った面内方向の振動確認実験結果について検討しました。現在、以前に実施したモード解析結果ほか、一連の実験結果も含めて、モデル化の精度向上を検討しているところです。 また、「建築への制振材料適用に関する技術講習会」を企画し、開催しました。 |
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建築(住宅)における制振材料利用技術WGにおける研究の流れ | |
① 建築における制振材料の使われ方に関する調査(1991年~1992年) | |
・キーワード調査(材料,構造,構法,評価)
・アンケート(騒音対策,技術課題,コスト) |
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② 制振材料を使用した木造床・壁の音響性能(1992年~1994年) | |
・木造戸建住宅及び実験室における実験的検討
(軽量床衝撃音レベル,中量床衝撃音レベル,駆動点インピーダンス,伝達インピーダンス,天井面・壁面振動,音響インテンシティ,実験モード解析,損失係数) |
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③ ツーバイフォー住宅の床衝撃音レベル低減(1994年~1996年) | |
・非拘束型制振材料,拘束型制振材料による検討
(重量床衝撃音レベル,中量床衝撃音レベル,加振力特性,天井面振動,モビリティ,損失係数) |
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④ コンクリートビームに対する制振特性(1996年~1998年) | |
・制振特性に関するパラメータの実験的検討と予測 (加振力特性,モビリティ,応答の線形性,曲げ剛性,質量,損失係数,Wavelet関数,実験モード解析,FEM振動応答解析) |
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⑤ コンクリートスラブの床衝撃音レベル低減(1998年~2002年) | |
・床衝撃音レベル低減に関するパラメータの実験的検討と予測 (重量床衝撃音レベル,加振力特性,モビリティ,応答の線形性,曲げ剛性,質量,損失係数,Wavelet関数,実験モード解析,FEM振動応答解析,BEM音響解析) |
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⑥ 床衝撃音の心理音響評価 (2000年~2006年) |
⑦ 着脱可能な制振材料による コンクリートビーム実験 (2004年) |
・非定常ラウドネスによる床衝撃音レベル評価の提案 (重量床衝撃音レベル,最大A特性床衝撃音レベル,最大A特性音圧レベル,非定常ラウドネス,主観評価,一対比較法,ME法,個人差,室空間の評価) |
・制振特性に関するパラメータの実験的検討
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⑧ 窓サッシ遮音性能の向上 (2006年~現在) |
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・制振特性の実験的検討と予測の確立 (FEM,モード歪エネルギー法,実験モード解析,音響透過損失,コインシデンス効果,損失係数,音響放射特性) |
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参加希望者は、トップページの”お問い合わせ”からお願い致します。 興味のある方々の参加をお待ちしております。 また、ご意見ご要望もお寄せ下さい。 (山本) |
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WGメンバー | |
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主査 | 山本 耕三(東洋建設) |
幹事 | 大山 宏(日本音響エンジニアリング) |
委員 | 大石 力(環境調査設計) 植村 友昭(鴻池組) 小林 真人(飛島建設) 山口 誉夫(群馬大学) 渡辺 茂幸(都立産業技術研究センター) 神尾ちひろ(群馬大学) 兵藤伸也(飛島建設) |
オブザーバー | 天津 成美(キャテック) 中島 友則(三井化学) |