2024年度を迎えて(会長挨拶)

                     制振工学研究会会長 岡村 宏

明けましておめでとうございます.本年もよろしくお願いいたします.

 やっと新型ウイルスへの対応に人類が曳釣り回された長い対応にも慣れ,少しづつ人類としてのペースを取り戻しつつありますが,一難去ってまた一難,国同士の戦いやゲリラ戦での争いが実際にいくつも勃発して,多くの命が失われています.

 そのような戦場に,世界中の新旧の多くの武器が持ち込まれ,さながら武器の実戦評価試験場となりつつあります.ここでの評価は,実配備の武器の優劣を明示化し,新しい軍備補強が推進されることになりそうです.その最も大きなテーマが,無人操縦のドローンのような無人兵器の実践配備であり,センシング技術による戦場情報の把握と対応の最適解のAI等による抽出が求められ,戦場でのサイバーフィジカルシステムの稼働そのものが動き始めています.戦争のやり方が大きく変わる可能性があります.本来は,自動運転,スマートシティ等の生活モビリティの利便性により,平和的に用いられることが期待されるものです.しかしこれらの兵器は, 一般に,攻撃兵器の技術能力の増強に比べて,防御兵器の技術開発は数段難しく,なかなか追い付かないのが現状です.したがって,益々世界の人々の生活に対するリスクが更に増大してしまうことになります.本来であれば,地球温暖化による異常気象等のリスクに真剣に取り組むべき体制をしっかりと構築する必要があります.

 このような状況下では,戦争と平和との技術は絡み合い,その対処法をしっかりと根付かせる体制づくりが求められます.できれば,平和を求めるシステムが,争いを起こすシステムをしっかりと管理できることが求められるのでしょう.

 このようなことを,つらつらと考えさせられる新年ですが,人間は常に間違えながらも修正する力があるので,決定的なリスクを回避することができると信じたいものです.新年を迎え,能登半島の地震災害や羽田空港の事故が立て続けに出ていますが,天災,人災に対処できる力をわが国は世界に先駆けて推進する必要を示唆してくれているように感じています.被害を受けた方々への哀悼と早い復興をお祈りいたします.

 昨年度の制振工学研究会の技術交流会は,web上での開催となりましたが,昨年に引き続き今までで最も多い参加者となりました.また,初代会長の時田先生からのご寄付による時田賞が今回から実施され,若手発表者を対象にした発表賞の表彰が行われました.賞金と盾が送られます.

 この技術交流会は,色々な産業分野に散在する制振工学の技術を集めて,交流し,発信できることを目的としています.会員が高齢化する中,若手技術者への支援と研究会への参加を目指しております.本年度も引き続き表彰を行いますので,奮ってご参加ください. また,技術発信としてweb上のホームページをこの数年にかけて充実してきました.新コロナ対応の必要性にも後押しされ,会員の皆様にはより多くの技術情報のサービスを提供し,外部の方との交流も活発になってまいりました.新年を迎え,更に,ご活用をお願いいたします.また,若手向けの講習会の企画や各分科会での会合やWG活動にも積極的にご参加をお待ちしております.本年などもよろしくお願いいたします.

「お問合せ」「定期総会出欠連絡票」での不具合について

「お問合せ」や「定期総会出欠連絡票」ページで、必要事項を入力後【送信】をクリックしても「時計」アイコンが表示されたままになる不具合が発生することがあります。

現在原因を調査中です。もしそのような現象が出た場合、入力事項が転送されていない可能性がありますので、次のメールアドレス宛ご連絡ください。

mail(at)sdt-jp.com ※(at)は@です。

制振工学基礎講座Cは延期となりました

先に募集していた制振工学基礎講座Cは、受講申し込み者が最少催行人数に満たなかったため延期となりました。

4月以降再度募集する予定です。

制振工学基礎講座C受講募集中です−中止

延期となりました。4月以降に再募集いたします。

昨年10月、11月に開講した制振工学基礎講座A,Bに引き続き制振工学基礎講座Cを開講します。

本講座は損失係数測定ノウハウとして、講義と実演を行います。

多くの皆様の参加をお待ちしています。

制振工学基礎講座Cー損失係数測定ノウハウーの講案内はこちらから

2023年を迎えて(会長挨拶)

                     制振工学研究会会長 岡村 宏

 明けましておめでとうございます.本年もよろしくお願いいたします.

 昨年後半から,新型ウイルスに対する世界の考え方や対処法が大きく変わりました.かなりリスクはあるが人間らしい本来の生活や経済状況を取り戻したいとの考えが主流となりました.サッカーのワールドカップの大会では,スポーツが新型ウイルスをはねのけたような勢いでした.しかし,日本は,世界で唯一?まじめに感染者数をカウントしていると,8 次の感染ピークが年末に明らかになり,どのように対処するかが問われています.リスクを極端に嫌う日本人気質でも,日常生活や経済を取り戻す考えが次第に強くなってきました.
 これと連動しているわけではありませんが,ウクライナでの戦争,エネルギー,穀物等の需給課題等の現象を目のあたりにして,平和憲法を固持し戦争に巻き込まれるリスクはダメだ,原子力発電はあまりにもリスクが大きい等の考えが,変化し始めています.
 更に,日本の産業力について考えると,この十年間で,日本の大型企業の業績は横ばいかやや下がる傾向にあり,それに連動して日本での賃金も抑制され,円安が加速し,世界基準での付加価値が相対的に大幅に低下しています.その原因と考えられることは,日本の大企業は,今まで通りのやり方で堅実にやっていればよい,あえてリスクをとることはやらないという企業姿勢でしょう.
 その間,GAFA を代表とする欧米の企業の多くは,この10 年の間に数~数十倍の業績を上げています.中国もそれ以上の成長を続けています.本は,過去に稼いだ貯金が目減りしています.新型コロナは,日本にとっては,ある意味で神風なようなものとみることができます.欧米も中国も新型コロナで産業力発展が減速して,更にウクライナ問題で更に影響を受けています.ここで顕在化した色々な現象を日本はしっかりと認識し,従来路線からシフトアップする実行力をとりもどす必要があると考えます.

 おかげさまで,制振工学研究会も35 回の技術交流会を昨年末に開催することができ,今までの最高人数の参加をいただきました.多くの発表論文や活発な議論をいただき,盛況であったと考えます.
この交流会を支えた裏方のメンバーの方々や参加者に深く御礼申し上げます.遅ればせながら,交流会のアンケートをお願いしています.ぜひご意見をお寄せください.
 しかし,長年の課題である若い技術者の会員数とそのアクティビティは必ずしも伸びていません.
上述のように,同じ路線を進むのではなく,制振工学も,狭義のダンピング技術からより広義な制振工学へと,更にそのすそ野に広がる振動・音響等の動的現象から,それらの影響を受けるより広い分野と連携した視野を持って,活動してゆきたいと考えます.この研究会の活動が,若い技術者に魅力があるものにしてゆく必要があります.よろしくお願いいたします.
 本研究会のweb サイトは,関係者のご努力でこの一年,その基本構造から変え,より使いやすく,見やすくしていただきました.研究会内外との交流や連携の活動にぜひ役立てていただきたいと考えます.


 本年度も,会員皆様のご協力をお願いいたします.

制振工学基礎講座を開講します

制振工学研究会では制振工学基礎講座の受講生を募集しています。

講座は全3回、1,2回は講義で、3回目は実習を含みます。

制振工学の基礎知識の習得に最適だと思いますので、多くの方の受講をお待ちしております。

制振工学基礎講座受講者募集

制振工学研究会の初代会長の時田保夫様が5月9日にご逝去されました.謹んで,ご冥福をお祈り申し上げます.

ご葬儀は、サン・ライフ南多摩総合ホールでおこなわれます。

文献検索サイトに研究会文献情報を追加しました

文献検索サイトに2021年技術交流会資料と会報64,65号の記事を追加しました。

文献検索サイト

2022年を迎えて(会長挨拶)

        制振工学研究会会長 岡村 宏

 明けましておめでとうございます.本年もよろしくお願いいたします.昨年は新型ウイルスが日本では抑制されて落着きを取り戻しつつありますが、世界中では、新しい変異株ウイルスでの流行が年末にかけ大きくなり、いずれ日本もそのようになる可能性は高く、慎重になってはいるところと考えます。

 これを克服するのはやはり、ワクチンの供給や治療薬の新規開発ですが、残念ながら、ワクチンや治療薬の開発に関して日本は世界のトップクラスの国々から大きく引き離されています。薬剤関係の旧態保持の仕組みや少しでもリスクのある事を避ける社会体質、チャレンジ体制の組めない開発構造等が目立っています。アフターコロナでは、各国とも新型コロナに社会のダメージを受け、いかに立ち直るかが問われます。この経験を生かす国と生かさない国では大きな差が出るものと考えます。日本は、今までも、今も? 後者のままであり、自分たちの能力やポテンシャルを生かすことができていません。現在の若者は、自分のテリトリーはそれなりにしっかりやりますが、そこから離れると、手を出さない、わからない、関心がない傾向があります。全体の枠組みができていれば、効率よく、そつなく機能しますが、トータルのビジョンが魅力的でないと、良い結果を出すことは難しいでしょう。極端な事例では、入出国関連で、何とかしないと生命にかかわることでも、法律通りの処理をすれば容認されるとして、生命に対して、まったくの無関心が居座る場合もあります。一方、試薬のモニターのような領域では、法律自身が生命のリスクを回避するように決まっていますので、リスクはダメに大ブレします。

 扱う対象を広く、総合的に見ることができないと、既存の法律や知見等に縛られて,良い結果を得ることができない可能性が大きくなると考えます。同様に、振動騒音問題では、従来のセオリや知見だけに基づいて対応していては、同じく良い結果は得られません。制振関連の分野は、根無し草のようで、それ自身が直接結果を出す訳ではありませんが、振動騒音分野での全体を見渡す力がないと、太刀打ちができません。さらに、振動騒音分野も実際のモノづくりでは根無し草のようなものです。振動騒音の専門家がだいぶ減ってしまっているように感じますが、特に若い技術者に、制振分野の活動をしていただくことで、より広い視野を養っていただければと考えます。制振工学研究会には、このような役割もあると考えますし、その活動の中に活用していただけるものをたくさん持っています。このような面でも、その役割を微力ながらでも、果たしていく研究会でありたいと考えます。

 本年もウィズコロナとしての対応が続くと考えますが,昨年に引き続きよろしくお願いいたします.研究会のwebページは、それに携わった会員の方々の努力で、見違えるように使いやすく、わかりやすくなっています。会員間や研究会外部からとの交流に役立つものと考えます。

 最後に,改めて,本年もよろしくお願いいたします.

文献検索サイトを開設しました

文献検索サイトを開設しました。

サイトでは、制振工学研究会発行の文献データベースと、研究会の文献情報分科会が収集した文献情報データベースを公開しています。

研究会発行文献の頒布は本サイトの出版・刊行物ページからお申し込み下さい。